【ぱんと郷土料理と】せいだのたまじ(山梨)
ぱんと郷土料理と
「どこの生まれですか」そんな問いのむこうに思い浮かぶもの、それは日本各地の食卓。情報網や物流が発達して、各地の食べものを知り、取り寄せることがかんたんにできるようになった今でも、まだまだ知られていない郷土料理があります。その土地ならではの食材を、そこに伝わる知恵と工夫で調理した、懐かしい香りのする料理の数々。ここでは、そんな郷土料理をパンと一緒に味わう旅をしてみましょう。意外な組み合わせとおいしさに出会えるかもしれません。
今回ご紹介するのは「せいだのたまじ」。山梨県上野原市棡原(ゆずりはら)地域に古くから伝承されている郷土料理で、小粒の皮つきじゃがいもを味噌で煮っころがしにしたものです。飢饉の続いた江戸時代、甲府の代官であった中井清太夫という人が、村人に種いもを配って栽培させ、大飢饉から救ったことから、じゃがいもを「清太夫芋」と呼ぶようになり、のちに「せいだ」へと変化したという逸話が残されています。「たまじ」は小さなじゃがいものことで、小粒でも捨てずに食べる知恵から生まれた料理です。じゃがいもは干ばつや冷害にも強く、荒れた土地でも育つ救荒作物なので、福島の「味噌かんぷら」など日本各地に似た郷土料理が伝わっています。
じゃがいもを油で炒めて味噌で煮る、というとてもシンプルな料理で作り置きにぴったり。崩してポテトサラダにすれば調味料いらず、コロッケにしてもソースいらずで大変おいしいです。ちなみに、砂糖を使って甘辛く煮たレシピが多く伝わっていますが、昔は砂糖は貴重品だったので、もともととは味噌だけで煮ていたのではないかと思います。
今では小粒のじゃがいもは農家で選別してしまってあまり店頭に出回らないのですが、見つけたらぜひ作ってみたい料理です。
「せいだのたまじ」を崩してポテトサラダやコロッケにしてもおいしいです
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レシピ「せいだのたまじ」
一般品として売り物にならない小さいじゃがいもは、なかなか店に出回らないので、見つけたらすぐ手に入れてくださいね!各地の作り方は砂糖を使って甘辛く煮るものが多いですが、砂糖は入れなくてもおいしくできますよ。
<材料>作りやすい量
新じゃがいも(小玉) 500g
味噌 大さじ3
(好みで)砂糖 小さじ2
ごま油 大さじ2
昆布だし汁 約1カップ(200cc)
白炒りごま 少々
<作り方>
①新じゃがいもはよくあらって水気をふきとっておく。
②鍋にごま油を温め、中火で新じゃがいもをよく炒める。
③表面全体に油がよくまわったら、じゃがいもの上に味噌をのせ、味噌の上からじゃがいもの高さの半分くらいまでだし汁を入れる(砂糖を入れる場合は全体にまわしかける)。蓋をして、沸騰したらかきまぜずに中弱火で30分ほど煮る。じゃがいもが柔らかくならないうちに煮汁がなくなりそうな時は少し足す。
④煮汁がほとんどなくなって焦げる寸前になったら全体をかき混ぜてできあがり。
⑤器に盛って炒りごまをふる。
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