「夏至」のアスパラごまぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】
二十四節気を楽しむ 一膳の手まるめぱん
1年を太陽の動きに合わせて24の期間に分け、季節を表した「二十四節気」。太陰太陽暦(旧暦)では季節を表すために用いられていました。
「じゃぱん」では二十四節気(にじゅうしせっき)を区切りとし、その時期に旬を迎える食材を使った「手まるめぱん」を連載でお届けします。
シンプルなレシピでつくる、手のひらサイズの手まるめぱん。日本の四季を感じる日本ならではのパンを、気軽に楽しみませんか?
「夏至」6月21日ごろ
6月21日ごろ、一年で最も昼の時間が長くなる日、あるいは7月7日ごろの「小暑」までの期間をいいます。太陽が最も北(北回帰線の真上)に来るために起こる現象です。冬至と比較すると、昼間の時間差は4時間以上もありますが、実際は夏至は梅雨の最中なので、日照時間は冬よりも短いことが多いようです。
冬至は全国的にかぼちゃを食べる風習がありますが、夏至は地方によって様々で、関西ではこの日にタコを食べる習慣があり、関東では焼き餅を供えたりします。
「夏至」という言葉が入って来たのは、中世になって中国から二十四節気が入ってきてからで、その後、各地で太陽の生命力を得るために夏至の日を祝うお祭りが開催されるようになりました。最近は、夏至の日は昼の時間が長いので「電気を消してスローな夜を」というタイトルで節電を呼びかけるイベントが行われています。
沖縄では、この頃に吹く季節風を「夏至南風(カーチーベー)」といい、この風が吹くと梅雨が明けて本格的な夏が訪れるそうです。日照時間の短い北欧では、夏至はとても大切な日で、各国で夏至祭が催されます。
不思議な草「アスパラガス」
アスパラガスは地中海原産のユリ科の多年草で、地上に伸びてくる新芽の茎を食べます。種を植えてから2~3年たたないと収穫できるようにならないのですが、収穫が始まると10年間くらいは同じ株で次々と芽が出てくるそうです。日本名は「オランダキジカクシ」となっていて、成長して葉が茂ると雉(キジ)が隠れるほどの大きさになるからだそうです。
アスパラガスにはグリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスがありますが、品種の違いではなく、栽培方法が違うだけだということはご存じでしょうか。グリーンアスパラガスは芽が出るままにし、日光に当てるので葉緑素が作られ色がつきます。ホワイトアスパラガスは芽が出る春先に土を盛り芽を日光にあてずに伸ばし、軟白栽培をしたものです。グリーンの方はやや青臭みがありますが、栄養価は高くカロテンなども多く含まれています。ホワイトは、軟白栽培というだけに食感が柔らかく、ほんのりと甘みがあります。栄養面ではグリーンのものより劣りますが栽培に手間がかかる上、いたみやすいので流通量が少なく高価です。
アスパラガスは春から芽が出始め、秋まで収穫できます。ハウス栽培のものも含めると一年のうちかなり多くの時期に出回っています。しかし、最もおいしい時期はやはり露地栽培の旬であることは言うまでもありません。ちょうど6月ごろ、アスパラガスの生産量第一位の北海道をはじめとしたやや寒冷な地域のアスパラガスが旬を迎えます。
「夏至」のアスパラごまぱんのつくりかた
今回は、いつものパン生地に白ごまを加えて、アスパラガスをくるんだぱんを作ってみます。生地の成形の仕方を変えるだけでちょっと変わったぱんができあがります。
シンプルで簡単!手のひらサイズのパンは1カップの小麦粉で。
ふつう手ごねでもホームベーカリーでも、1斤の食パンを焼くには300g前後の小麦粉を使います。でも一人暮らしではちょっと多いし、発酵にも時間がかかりそう…と思う方、1カップ=100gの小麦粉で小さな「手まるめぱん」を作ってみませんか?材料と作り方はとてもシンプルです。
<材料>3個分
- パン用小麦粉(強力粉)1カップ(100g)
- 塩 小さじ1/4
- 砂糖 小さじ1
- 白神こだま酵母 小さじ1/2
- 酵母を溶かす水 小さじ1(35℃にする)
- 生地に加える水 60cc前後(30~35℃にする/今回はごまが入る分やや多め)
- 炒り白ごま 大さじ山1(約10g)
- アスパラガス 3本
- ベーコン 少々
※お使いになる小麦粉によって水分量が変わります。詳しくは小麦粉の商品説明書にてご確認の上、当レシピをご参照ください。
<作り方>
- 白神こだま酵母は、35℃くらいのぬるま湯小さじ1に浸して5分ほどおく。
- 小麦粉に塩と砂糖を混ぜておく。白ごまはすり鉢で軽くすっておく。【1】の酵母をあわせて、生地の様子を見ながら60cc前後のぬるま湯を加え、生地に水がなじんだら白ごまも加えて耳たぶくらいの固さになるよう手のひらで温めながら捏ねていく。
- 乾燥しないように大きめのボウルなどに入れて30℃前後に保温し、大きさが2.5倍、指でおして生地が戻ってこなくなるまで発酵させる。アスパラガスをやや多めに塩を入れた湯で茹でて冷ましておく。
- 生地のガスを抜くように軽く丸め15分ほど休ませる。3等分して丸く形を整えたら、細く紐状に伸ばし、10cmくらいに切ったアスパラガスを真ん中に置いて、細く切ったベーコンと一緒に両端からぐるぐると巻いて端をしっかりとめる。
- とじ目を下にして天板に並べ、暖かいところで30分~1時間ほど発酵させる。
- 霧吹きで水をかけ、190~200℃のオーブンで15分くらい焼く。
おわりに
アスパラごまぱんの作り方はいかがだったでしょうか?白ごまは黒ごまに変えても、ミックスにしてもまた違った風味が楽しめます。べーコン以外に、ウインナーやチーズなどを一緒にくるんでもおいしいですよ!