「白露」の栗あんぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】
二十四節気を楽しむ 一膳の手まるめぱん
1年を太陽の動きに合わせて24の期間に分け、季節を表した「二十四節気」。太陰太陽暦(旧暦)では季節を表すために用いられていました。
「じゃぱん」では二十四節気(にじゅうしせっき)を区切りとし、その時期に旬を迎える食材を使った「手まるめぱん」を連載でお届けします。
シンプルなレシピでつくる、手のひらサイズの手まるめぱん。日本の四季を感じる日本ならではのパンを、気軽に楽しみませんか?
「白露」9月7日ごろ
「白露(はくろ)」は二十四節気の第15節目です。9月7日頃および秋分までの期間。処暑から数えて15日目頃をいいます。
草の葉に白い露が結ぶという意味で、夜が冷え込むようになり、草花に朝露が宿ることから名づけられました。空が高く感じるなど、本格的な秋の到来を感じられる頃です。日中はまだ暑さが残りますが、朝夕の風に肌寒さも感じ始めます。日本では「白」は冬のイメージですが、中国の陰陽五行では秋の色とされています。
「白露」の1~2日ほど後には9月9日の「重陽」がやってきます。中国では奇数を陽の数とし、陽の極である9が重なる9月9日は大変めでたい日とされ、菊酒を飲んだりして邪気を払い長命を願う、菊の節句、菊の宴とも言われています。平安時代以前は、農山村や庶民の間で秋の田畑の収穫が行われる時期に栗ごはんなどで祝う「栗の節句」とも言われていたそうです。年間にわたり様々な節句がありますが、そのうち公的な行事・祝日として江戸時代に定められたのが「人日の節句(1/7)」「上巳の節句(3/3)」「端午の節句(5/5)」「七夕の節句(7/7)」「重陽の節句(9/9)」の五節句です。
栗は古来より貴重な栄養源
栗はブナ科クリ属の植物で、日本では縄文時代の遺跡から発見されるなど、大昔から自生または栽培で食されていたことがわかっています。
世界の栗は大きく分けて「日本栗」「中国栗」「西洋栗」「アメリカ栗」の4種があり、中国の天津栗やイタリアのマロングラッセ、スイーツのモンブランなどに使われる栗は日本の栗とは別の品種です。
主成分はイモ類、穀物に多く含まれるでんぷんですが、栗は樹の上でとれる貴重なでんぷんなのです。豆類やイモ類と比較すると粒子が細かく、それが上品な味わいを生んでいます。
果実(果物)に分類すると100gあたりのカロリーが167kcalとトップクラスで、効率のよいエネルギー源です。たんぱく質・各種ビタミンも豊富です。見た目からは想像できませんが、サツマイモと比べても食物繊維も多くミネラルも豊富で、特に現代人に不足している亜鉛が豊富です。亜鉛が不足すると味覚障害・肌荒れ・抜け毛等の症状が出ると言われています。
栗は種子なのでナッツの仲間です。他のナッツは脂質が多いのですが栗はでんぷんが多く、脂質が少なくヘルシーです。少量で必要な栄養素をとることができます。縄文の昔から人間が好んで食してきた理由がわかりますね。
固い鬼皮を剥かずに新聞紙などにくるんで冷蔵すれば3ヶ月ほども保存できますが、おいしく食べるには1週間くらいまでの方がよいでしょう。味はやや落ちますが、皮をむいて固ゆでにしてから冷凍もできます。
「白露」の栗あんぱんのつくりかた
今回は、いつものパン生地に小豆餡を包んだあんぱんを作ってみます。かわいらしく栗の形に整えるとお子さんも大喜びの栗あんぱんに。中に栗を入れて贅沢に仕上げても大変おいしいです。
シンプルで簡単!手のひらサイズのパンは1カップの小麦粉で。
ふつう手ごねでもホームベーカリーでも、1斤の食パンを焼くには300g前後の小麦粉を使います。でも一人暮らしではちょっと多いし、発酵にも時間がかかりそう…と思う方、1カップ=100gの小麦粉で小さな「手まるめぱん」を作ってみませんか?材料と作り方はとてもシンプルです。
<材料>3個分
- パン用小麦粉(強力粉)1カップ(100g)
- 塩 小さじ1/4
- 砂糖 小さじ1
- 白神こだま酵母 小さじ1/2
- 酵母を溶かす水 小さじ1(35℃にする)
- 生地に加える水 50cc前後(30~35℃にする)
- 小豆餡(つぶあん)100gほど
- 栗(あればゆでて) 3個
- 卵(照り出し用)少々
- 白ゴマ 適量
※お使いになる小麦粉によって水分量が変わります。詳しくは小麦粉の商品説明書にてご確認の上、当レシピをご参照ください。
<作り方>
- 白神こだま酵母は、35℃くらいのぬるま湯小さじ1に浸して5分ほどおく。
- 小麦粉に塩と砂糖を混ぜておく。【1】の酵母をあわせて、生地の様子を見ながら水を加え、生地がなじんだら耳たぶくらいの固さになるよう手のひらで温めながら捏ねていく。
- 乾燥しないように大きめのボウルなどに入れて30℃前後に保温し、大きさが2.5倍、指でおして生地が戻ってこなくなるまで発酵させる。
- 生地のガスを抜くように軽く丸め15分ほど休ませる。3等分して平たく伸ばし、3等分にした小豆餡(と栗)を包んで涙型に整え、霧吹きで水をふいて栗のお尻になる部分に白ゴマをまぶす。とじ目を下にして天板に並べ、暖かいところで10分ほど短時間発酵させる。
- ゴマのついていない部分に溶き卵をハケなどで塗って、180~190℃に予熱したオーブンで10~15分焼く。
おわりに
栗あんぱんの作り方はいかがだったでしょうか?できあがりがちゃんと栗の形になるようにするには、成形の時に思い切り涙型につまんでおくとよいと思います。中の餡は手軽に市販のつぶあんを使いましたが、自家製の餡ならよりいっそうおいしいですね。栗は甘露煮にすれば贅沢ですが、茹でただけの栗でも十分おいしいです。ぜひ試してみてくださいね!