「春分」のあんぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】
二十四節気を楽しむ 一膳の手まるめぱん
1年を太陽の動きに合わせて24の期間に分け、季節を表した「二十四節気」。太陰太陽暦(旧暦)では季節を表すために用いられていました。
「じゃぱん」では二十四節気(にじゅうしせっき)を区切りとし、その時期に旬を迎える食材を使った「手まるめぱん」を連載でお届けします。
シンプルなレシピでつくる、手のひらサイズの手まるめぱん。日本の四季を感じる日本ならではのパンを、気軽に楽しみませんか?
「春分」3月21日ごろ
暦の上の日にちは天文学的に決めるのですが、地球の真ん中の赤道を延長した天の赤道と太陽の通り道である黄道がちょうど交差したところが黄径0度、「春分」とは太陽の角度がちょうど黄径0度(春分点)になった瞬間のことで、その瞬間がある日のことを「春分の日」と呼びます。太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになります。この日を境に夏至までは昼が長くなり、夜が短くなっていきます。
春分・秋分の3日前から7日間をそれぞれ春の彼岸、秋の彼岸と言い、春分・秋分は「彼岸の中日」にあたり、彼岸に墓参りに行く日本独特の習慣は、太陽に関係しています。仏教では、生死の海を渡って到達する悟りの世界を「彼岸」といい、その反対側の迷いや煩悩に満ちた世界を「此岸(しがん)」といいます。彼岸は西に、此岸は東にあるとされており、太陽が真東から昇って真西に沈む秋分と春分は、彼岸と此岸がもっとも通じやすくなると考え、先祖供養をするようになりました。
春分は3月21日ごろになることが多く、「暑さ寒さも彼岸まで」というように寒さがやわらいで過ごしやすい季節になります。桜の開花情報が聞かれるのもこのころからです。本格的な春の訪れが待ち遠しいころですね!
春の「ぼたもち」秋の「おはぎ」
春分の日に食べるぼたもちとおはぎの違いについてご存知でしょうか。基本は同じ食べものですが、季節や材料、作り方によって呼び分けられることもあるのです。
ぼたもちは「牡丹餅」と書き、春分のころに咲く牡丹の花に似ていることから付いた名、おはぎは漢字で「御萩」と書き、秋分のころに咲く萩の花に似ていることから付いた名ですが、現在では季節によって呼び分けられることは少なくなっています。
また、おはぎには「つぶあん」、ぼたもちには「こしあん」を使い、あんこの違いによって呼び分けることもあります。新豆の収穫期をにあたる秋の小豆は皮までやわらかいことから、「つぶあん」を使い、冬を越して小豆の皮が硬くなる春のぼたもちには、皮を濾す「こしあん」を使ったためという説もあります。
他にも、もち米で作ると「ぼたもち」、うるち米で作ると「おはぎ」と呼び分けたり、米の粒を餅の状態になるまでついたものを「ぼたもち」、米粒が残ったものを「おはぎ」と呼ぶなど、さまざまな説がありますが、製品として販売されるものが増えた最近は、すべて「おはぎ」と呼ばれるようになってきました。
「春分」のあんぱんのつくりかた
今回は、小豆あんを使った基本のあんぱんを作ってみます。あんは手軽に市販のつぶあんを使います。おはぎ(ぼたもち)を作る春のお彼岸の季節には、お店でも手に入りやすいと思います。もちろん自分で小豆から炊いたあんで作ったら最高においしいですよ!
シンプルで簡単!手のひらサイズのパンは1カップの小麦粉で。
ふつう手ごねでもホームベーカリーでも、1斤の食パンを焼くには300g前後の小麦粉を使います。でも一人暮らしではちょっと多いし、発酵にも時間がかかりそう…と思う方、1カップ=100gの小麦粉で小さな「手まるめぱん」を作ってみませんか?材料と作り方はとてもシンプルです。
<材料>3個分
- パン用小麦粉(強力粉)1カップ(100g)
- 塩 小さじ1/4
- 砂糖 小さじ1
- 白神こだま酵母 小さじ1/2
- つぶあん 適量
- 卵 1個
- 黒ごま 適量
※お使いになる小麦粉によって水分量が変わります。詳しくは小麦粉の商品説明書にてご確認の上、当レシピをご参照ください。
<作り方>
- 白神こだま酵母は、35℃くらいのぬるま湯小さじ1に浸して5分ほどおく。
- 小麦粉に塩と砂糖を混ぜておく。【1】の酵母をあわせて、生地の様子を見ながら55g前後のぬるま湯を加え、耳たぶくらいの固さになるよう手のひらで温めながら捏ねていく。
- 乾燥しないように大きめのボウルなどに入れて30℃前後に保温し、大きさが2.5倍、指でおして生地が戻ってこなくなるまで発酵させる。
- 生地を3等分にして10分ほど休ませる。丸く形を整えてあんを適量包み、天板に並べ、暖かいところで30分~1時間ほど発酵させる。溶き卵を表面に塗って黒ごま少々をトッピングする。
- 180℃のオーブンで15分くらい焼く。
おわりに
基本のあんぱんも、市販のあんを使えば手軽に作ることができます。あんがはみ出ないよう上手に包んでくださいね。卵を塗らず、表面の照りを出さないようにしても十分おいしいです。今年の春分の日は、おはぎとあんぱん、両方手作りしてみるのはいかがでしょうか!