「穀雨」のよもぎぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】

「穀雨」のよもぎぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】

二十四節気を楽しむ 一膳の手まるめぱん

1年を太陽の動きに合わせて24の期間に分け、季節を表した「二十四節気」。太陰太陽暦(旧暦)では季節を表すために用いられていました。
「じゃぱん」では二十四節気(にじゅうしせっき)を区切りとし、その時期に旬を迎える食材を使った「手まるめぱん」を連載でお届けします。
シンプルなレシピでつくる、手のひらサイズの手まるめぱん。日本の四季を感じる日本ならではのパンを、気軽に楽しみませんか?

「穀雨」4月20日ごろ

清明」から数えて15日目ごろの春季の最後の節気です。春の雨が百穀を潤すことから「穀雨」と名づけられ、雨で潤った田畑は種まきの時季を迎えます。南の地方ではトンボが飛び始め、冬服やストーブとも完全に別れる季節です。

春先の荒れやすい天気もこの頃から徐々に安定し、日差しも強まってきます。穀雨が終わる頃には新緑が芽吹き、八十八夜を迎えます。

身近な薬草「よもぎ」

よもぎはキク科の多年草で、ちょっとした草地であればどこでも生えている身近な草。実は「ハーブの女王」と呼ばれるほど効能が多く、「飲んでよし、つけてよし、浸かってよし、嗅いでよし、燃やしてよし」の五拍子揃った薬草です。「病を艾(止)める」という意味から、漢方では艾葉(ガイヨウ)と呼ばれ、万能薬とされています。

粒子の細かい食物繊維が豊富で、腸に蓄積した有害物質などを取り除いてくれるはたらきがあるとも言われています。若い芽はゆでて菓子などに利用するほか、乾燥させたものを煎じて飲むと、浄血、健胃、腹痛、下痢、貧血、冷え性などに効果があると言われています。少し育ったものも乾燥させて風呂に入れると腰痛や美容、婦人科系に薬効があるとして古来より利用されており、よもぎがお灸のもぐさであることは有名な話です。

近所のちょっとした草地や川原などで探すと意外にどこにでもよもぎは生えています。今年はよもぎを摘んでパンや団子を作ってみませんか。
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「穀雨」のよもぎぱんのつくりかた

今回は、ゆでたよもぎを加えてシンプルにパンを焼いてみます。市販のよもぎ粉のようなあざやかな色にはなりませんが、摘みたてよもぎの香り豊かなパンができあがります。

シンプルで簡単!手のひらサイズのパンは1カップの小麦粉で。

ふつう手ごねでもホームベーカリーでも、1斤の食パンを焼くには300g前後の小麦粉を使います。でも一人暮らしではちょっと多いし、発酵にも時間がかかりそう…と思う方、1カップ=100gの小麦粉で小さな「手まるめぱん」を作ってみませんか?材料と作り方はとてもシンプルです。

<材料>3個分

  • パン用小麦粉(強力粉)1カップ(100g)
  • 塩 小さじ1/4
  • 砂糖 小さじ1
  • 白神こだま酵母 小さじ1/2
  • 酵母を溶かす水 小さじ1(35℃にする)
  • 生地に加える水 45cc前後(30~35℃にする)
  • よもぎ(ゆでて) 50gくらい

※お使いになる小麦粉によって水分量が変わります。詳しくは小麦粉の商品説明書にてご確認の上、当レシピをご参照ください。

<作り方>

  1. 白神こだま酵母は、35℃くらいのぬるま湯小さじ1に浸して5分ほどおく。
  2. よもぎはゆでて細かく刻み、よく水を絞っておく
  3. 小麦粉に塩と砂糖を混ぜておく。【1】の酵母と【2】のよもぎをあわせて、生地の様子を見ながら45cc前後のぬるま湯を加え、耳たぶくらいの固さになるよう手のひらで温めながら捏ねていく。
  4. 乾燥しないように大きめのボウルなどに入れて30℃前後に保温し、大きさが2.5倍、指でおして生地が戻ってこなくなるまで発酵させる。
  5. 生地を3等分にして10分ほど休ませる。丸く形を整えたら天板に並べ、暖かいところで30分~1時間ほど発酵させる。
  6. 180℃に予熱したのオーブンを150℃に下げて15分くらい焼く。※オーブンによって焼き色の付き方が変わるので、様子をみてアルミ箔をかぶせるなど調節してください。yomogi-bread2016-2

おわりに

よもぎぱんの作り方はいかがだったでしょうか?つけあわせは、餡はもちろんおいしいですし、バターとジャムも意外によくあいます。

今の時期だとやや寒い地域や日差しの少ない里山のよもぎがちょうどおいしいころだと思います。たまにはゆっくり地面を眺めながら散歩して、よもぎぱんを作ってみませんか。