給食でおなじみ!コッペパン、揚げパンの由来と歴史
「コッペパン」とコッペパンを揚げた「揚げパン」は、給食でもおなじみのメニューです。コッペパンをなんとなく外国発祥のものだと思っている方もいるかもしれませんが、コッペパンは実は日本独自のパン。
今回は、意外と知らないコッペパンと揚げパンの由来と歴史をひも解いてみましょう。
「コッペパン」の名前の由来
コッペパンは、食べるときに切り込みを入れて、中にジャムやマーガリンを塗ったり、具を入れたりすることが多いのではないでしょうか。切り込みの入った状態で販売されているコッペパンも見かけます。
「コッペ」の語源については諸説ありますが、一説ではフランスでよく見られるパンの1つ、「coupe(クッペ)」から来ているのではないかといわれています。
クッペはフランス語で「切られた」を意味し、ラグビーボールのような形をしています。パン中央部に「クープ」と呼ばれる切り込みが入っていることが特徴です。クープを入れてから焼くことによって、火の通りが良くなるだけでなく、見た目も美しくなります。
コッペパンとクッペの違い
コッペパンは、切れ込みが入っていないことを除けば、フランスのパン「クッペ」と外観も呼び方もよく似ています。しかし、2つのパンには大きな違いがあります。それは材料の成分比率です。
フランスのパンはリーンタイプ(小麦粉以外の材料が少ないパン)ですが、日本のパンはリッチタイプ(小麦粉以外の材料が多いパン)。こうしたタイプの違いにより、食感や味が異なります。
学校給食を支えたコッペパン
コッペパンはアメリカでパンの製法を学んだ田辺玄平によって生み出されたといわれています。
大正2年に東京上野黒門町に食パン専門店「丸十ぱん店」を創業した田辺玄平は、陸軍糧食の嘱託となり、大正8年にコッペパンを開発しました。
しかし、コッペパンを含むパン全体が日本に広く普及したのは、戦後アメリカから援助された小麦粉と脱脂粉乳を使ったコッペパンが給食に出されるようになってからです。
栄養価が高く、手軽に食べられるコッペパンは戦後間もない日本の学校給食を支えてきました。
今では食パンやロールパン、クロワッサンなど、さまざまなパンが簡単に作れるようになったため、コッペパンが給食に登場する機会は減っていますが、子供たちにとって人気の給食メニューの1つであることは変わっていないのではないでしょうか。
「揚げパン」が学校給食に定着したきっかけ
一般的にはコッペパンを油で揚げ、砂糖で味付けした菓子パンのことを揚げパンと呼びます。
揚げパンが給食のメニューとして出されるようになったのは、大田区の公立小学校に勤務する調理師が昭和27年に揚げパンを作り、学校を欠席した子供の家に届けさせたことがきっかけだといわれています。
学校給食コンクールでの優勝経験もあるこの調理師は、作ってから時間が経過して硬くなってしまったパンをおいしく食べられるようにと考え、揚げパンを作ったようです。
甘い食べ物を手に入れることが困難だったこの時代、子供たちにとっては揚げパンがごちそうに思えたことでしょう。
コッペパン専門店「パンの田島」さん
日本発祥、昔ながらのコッペパンを今の時代にマッチさせた「パンの田島」さん。
横浜市港北区綱島にある人気のコッペパン専門店です。
惣菜系、甘い系から豊富なコッペパンメニューが選べます。
人気の定番メニュー「つぶあんマーガリン」のほか、変わりだね「ラムレーズン・練乳クリーム」「黒豆きなこクリーム」など。
2015年6月オープン。ちょっと変わったコッペパンが楽しめるお店です。
パンの田島 http://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140204/14059519/
おわりに
コッペパンは、戦後の日本の子供たちを支えたパンといえるかもしれません。現在はコッペパンが給食に出されることは少なくなりましたが、コッペパンと揚げパンは今でも子供たちに人気があります。
コッペパン・揚げパンの魅力は、種類が豊富で飽きがこないこと。ジャムやマーガリンを塗って菓子パンとして食べても良いですし、焼きそばやコロッケ、カツなどの惣菜を挟んで惣菜パンとして食べてもおいしいですよね。
最近ではコッペパン専門店も登場し、新しい食べ方のコッペパンも楽しめます。手軽でおいしいコッペパン。ぜひ専門店の味を楽しんだり、自分でアレンジして楽しんだりしてみてください。