「日本の四季を楽しむ」かぼちゃや苺など、旬の素材を使った日本のパン

「日本の四季を楽しむ」かぼちゃや苺など、旬の素材を使った日本のパン

特定の食材が新鮮でおいしく食べられる時期を旬と呼びますが、旬の食材は手頃な価格で手に入るだけでなく、栄養価が高いというメリットもあります。日本には「初物を食べると75日寿命が延びる」という言葉があるほど。

そこで今回は、かぼちゃや苺などの旬の素材を使った日本のパンをご紹介します。

【旬の食材】春

春キャベツを挟んだサンドイッチや新たまねぎを使ったオニオンブレッドがおいしい季節です。菓子パンでは苺を使ったパンが多く見られます。

春キャベツ

春キャベツを使ったパンには、春キャベツをふんだんに使ったサンドイッチや、ベーコンやじゃがいもと一緒に焼き上げた惣菜パンなどがあります。
中でも変わり種のパンとして、千葉県の公立高校と地元菓子店が共同開発した「キャベツメロンパン」というユニークなパンも。生地に地元産のキャベツが混ぜ込んであります。

たまねぎ

たまねぎは惣菜パンでよく使われる野菜の1つ。たまねぎとチーズを生地に練り込んで焼き上げたオニオンチーズブレッドや、たまねぎとコーン、マヨネーズを乗せて香ばしく焼いた惣菜パンなど、魅力的なパンが登場します。
兵庫では、淡路島たまねぎを使った「オニオンブレッド」というパンも。パン生地の上に薄切りのたまねぎ、コーン、ハムを載せ、マヨネーズをかけてオーブンで焼き上げた、たまねぎの甘さがパンのうま味を引き立てる一品です。

of-using-seasonal-ingredients-japan-bread-2近年ではクリスマスケーキ需要で12月ごろから出回ることが多い苺ですが、この苺が一番おいしく食べられる旬な時期は4月~5月に露地栽培で育ったものになります。
春になると、パンだけでなくスーパーやコンビニ、洋菓子店など、苺を見ない日はないのでは?と思うほど苺をよく目にします。
苺を使ったパンには、カットした苺と生クリームを挟んだ菓子パンや、ミキサーにかけた苺を生地に練り込んだパンなどが登場します。

of-using-seasonal-ingredients-japan-bread-4桜の塩漬けを使い、桜の花の香りがほんのり香り、そして桜の形をした桜あんぱんは、もはや日本の春を象徴する日本ならではのパンとなっています。栃木県佐野名物のナカダのパンの「桜あんぱん」や、銀座木村屋総本店の「酒種桜あんぱん」は有名です。

よもぎ

よもぎは若い芽のうちに摘み取られ食用として、日本の伝統的な和菓子である草餅(よもぎ餅)などに使われています。
独特の香りがする緑色の食材としてだけではなく、お灸のもぐさとして使ったり、漢方の生薬にしたりなど古くから万能薬としても重宝されてきました。
日本では「よもぎパン」「よもぎあんぱん」「よもぎ蒸しパン」「よもぎカップケーキ」などが多くのパン屋さんで販売されています。

【旬の食材】夏

夏には、夏バテのつらさを吹き飛ばす食材が登場。旬の夏野菜を使ったパンを食べて、夏バテを防ぎましょう。

ナス

夏野菜として有名なナス。ナス入りのカレーを使用した夏野菜カレーパンや、ナスやチーズを使ったピザパンなどが登場します。
福井県鯖江市では、地元の吉川ナスを使用した「吉川ナスバーガー」が販売されています。ハンバーガーの中に大きなナスと鶏そぼろが入っているボリューム満点の一品です。

トマト

トマトもナスと並んで夏野菜として有名です。ナスやズッキーニなどの他の夏野菜とミートソースを挟んだバゲットサンドや、バジルやチーズを一緒にパンやバゲットに乗せ、マルゲリータ風に焼き上げた惣菜パンなど、バリエーション豊かなパンが販売されます。
ハンバーガーのバンズに会津トマトがふんだんに練り込まれた「会津新選組バーガー」のように、ひと味違ったパンもあります。

トウモロコシ

トウモロコシの粉を加えて焼いた「コーンブレッド」。アメリカでよく食べられるパンですが、日本でもホテルやレストランなどで味わうことができます。また、パン生地にコーンを粒のまま練り込んだパンもさまざまなパン屋さんで見かけることができます。

枝豆

枝豆に多く含まれているビタミンB1とB2は糖質、脂質などを分解してエネルギーに変えることで、夏バテの原因である食欲不振により栄養不足を補ったり、疲労回復にも大変効果のある食べ物になります。
この枝豆をふんだんに使った「枝豆パン」は全国のパン屋さんでも人気の商品です。
チーズとの相性もよく、シンプルなパン生地に枝豆とチーズを組み合わせたものが多く見られます。

【旬の食材】秋

秋は「味覚の秋」とも呼ばれる季節。かぼちゃや栗を使った菓子パン、鮭を使った惣菜パンがパン屋さんやスーパー、コンビニに登場します。

かぼちゃ

of-using-seasonal-ingredients-japan-bread-3秋を代表する野菜・かぼちゃ。惣菜パンにも菓子パンにも使える万能素材です。かぼちゃを生地に練り込んだパンや、あんにかぼちゃを混ぜたかぼちゃあんぱん、かぼちゃのマフィンなど、いろいろなパンに使われています。

栗は秋を代表する果物。栗をくるみと一緒に生地に練り込んだパンや、かぼちゃあんぱんのようにあんに栗を混ぜた栗あんぱん、マロングラッセを乗せて焼いたパンなど、栗の自然な甘みを生かしたパンが多数登場します。

秋鮭を使ったパンには、チーズやホウレンソウを一緒に挟んでこんがりと焼き上げたホットサンドや、秋鮭ときのこを使ったグラタン風のパンなど、1つでお腹がいっぱいになりそうなボリュームたっぷりのパンがあります。
大手ファーストフードチェーン店からも、秋になると鮭を挟んだサーモンサンドが期間限定で発売されます。

ぶどう

夏の後半から秋にかけて巨峰、甲州やピオーネをはじめとしたぶどうが旬の時期を迎えます。
ワインやジュース、ジャムやコンポートにして食べるなど、その用途は多種多様です。
もちろん、パン屋さんでは定番となっているレーズンパンですが、その他に「巨峰パン」や「ピオーネデニッシュ」「シャインマスカットサンド」など、さまざまなレーズンを使用し、見た目にも味にもこだわったレーズンパンがたくさんあります。ぶどうの旬な時期にはぜひパン屋さんをチェックしてみることをおすすめします。

【旬の食材】冬

寒い冬は温かいパンを食べて乗り切りましょう。旬の食材をパンと組み合わせることで、よりおいしくパンをいただけます。

りんご

りんごにはビタミンやカリウム、ポリフェノール、食物繊維がたっぷり含まれています。りんごを千切りにして生地に練り込んだパンや、薄くスライスしたりんごを生地に練り込んだパンケーキもおすすめ。パン屋さんではさまざまな産地のりんごを使用したアップルパイが販売されます。

ゆず

冬には、秋から冬にかけて収穫される、黄色く熟したゆずを使ったパンがさまざまなパン屋さんで販売されます。ゆずジャム入りのパンやゆずピールと一緒に焼いたパンなど、口の中に甘酸っぱさがふわりと広がるパンはとても魅力的です。

おわりに

季節の移り変わりを楽しむことを大事にする日本では、季節ごとに旬の素材を使用したパンを楽しめます。旬に関係なく一年中手に入るようになった素材もありますが、「そのときが一番旬」とされる時期に旬の素材をパンに取り入れることで、より四季の移ろいを感じられるのではないでしょうか。

シーズンによってパン屋さんの店頭に並ぶパンの種類は違うので、季節の変わり目にはいつものパン屋さんをのぞいてみてはいかがでしょうか。