日本酒とパンがコラボ?清酒・焼酎を使ったパンや、おつまみにぴったりのパン
パンの製造の過程で大事な工程に「発酵」があります。パン作りをしたことがある方はもちろん、パンを作ったことのない方でも「ドライイースト」や「酵母」といった言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
では、日本におけるパン食文化の初期に登場した「酒種パン」はご存じでしょうか。これは、清酒を作る際に用いられる酵母を利用して製造するパンのことです。酒種パンは、米食が根付いていた日本人にパンが普及するきっかけとなりました。意外なことに、清酒とパンの組み合わせはマッチするのです。
そこで今回は、材料に清酒・焼酎を使用したパンや、日本酒のおつまみにぴったりのパンをご紹介します。
木村屋總本店の酒種あんぱん
「木村屋總本店」の「酒種あんぱん」は、明治7年(1874年)に考案されて以来、試行錯誤を繰り返しながらも歴史と伝統の味を現在に継承しています。
当時はパン自体があまり日本に普及していなかったため、パン業界の先駆け的な存在として大きな影響を与えました。
材料に米麹と水でできた「酒種酵母菌」が使用されているため、酒種独特の風味を含んだ和菓子のような生地になっています。明治8年に明治天皇に献上された「酒種あんぱん 桜」は、厳選された小豆を使用したこしあんと、塩漬けした八重桜の花びらが程よいバランスを醸し出し、上品な味わいを楽しめる一品です。
霧島酒造が手掛ける、焼酎モロミを使ったパン
芋焼酎の中でも有名な「霧島」を製造している宮崎県の霧島酒造。この霧島酒造が運営する「霧島ファクトリーガーデン」では、芋焼酎の製造過程で得られる焼酎粕、焼酎モロミを使用して作ったパンを販売するベーカリーがあります。
焼酎モロミを使ったパンは、ムラの少ないキレイな焼き色や、ふわふわでもっちりとした食感が特徴。日本のパンの新しい可能性が感じられるパンですね。
サクサク食感とピリ辛がたまらないカレーパン
昔から多くの方が何気なく食べている「カレーパン」は、日本酒のおつまみによく合います。特におすすめしたいのが揚げたてのカレーパン。きつね色の衣のサクサクとした食感と、中から出てくるアツアツ濃厚カレーのピリ辛さがより際立ち、日本酒本来の風味とうま味が存分に楽しめます。
カレーパンの記事でもご紹介しましたが、カレーパンの歴史は意外と古く、昭和2年(1927年)に「名花堂」の2代目店主が考案したとされる説と、昭和12年(1937年)に「デンマークブロート」の創業者が考案したという説が存在します。それぞれ「カトレア」「デンマークベーカリー」と店名を変えて、現在も営業しています。
日本発祥のパンだからこそ、日本酒との相性も良いのかもしれませんね。ぜひ日本酒のおつまみとして、揚げたてのカレーパンを買いに行ってみてはいかがでしょうか。
チーズとトマトのベストマッチ、ピザトースト
「ピザトースト」も日本酒によく合うパンです。食べた瞬間に口の中で広がるトロトロチーズの風味とトマトソースの酸味が、意外にも日本酒のおいしさを引き立てます。
ピザトーストといえば、トマトソースを塗った食パンの上に、サラミやピーマン、玉ねぎなどのお好みの具とチーズを乗せて焼くだけの非常にシンプルなパン。ご家庭で簡単に作れるため、お酒のおつまみにぜひ作ってみてください。
実はこのピザトースト、カレーパン同様、日本で考案されたのはご存じでしょうか。
昭和39年(1964年)頃、現在も東京都千代田区有楽町に店を構える「珈琲館 紅鹿舎」が、当時は高価だったピザをどうしても安値で食べてほしいという思いからピザトーストを考案したといわれています。
今では手軽に作ることのできるピザトーストですが、元祖も気になる!という方はぜひ元祖ピザトーストの味を確かめに行ってみてください。
おわりに
一見つながりがあまり感じられない日本酒とパンですが、実は意外と相性の良い組み合わせ。ご家庭でのパン作りでも、余った日本酒を使えば酒種パンを作ることができます。パン作りをする方はぜひチャレンジしてみてください。
また、今回ご紹介した以外にも日本酒のおつまみにぴったりのパンはたくさん存在します。新しいパンメニューを生み出した先人たちにならって、新たなおつまみパンを考案するのも楽しいかもしれませんね。