カレーパンの発祥は日本!元祖はカトレア?カレーパンの歴史に迫る
カレーパンといえば、こんがりときつね色に揚げられた衣と、中のカレーの濃厚な味わいや風味が魅力です。カレーとパン、どちらも洋風な食べ物ですが、カレーパンの発祥が実は日本だということをご存知でしょうか。
今回は、多くの人に愛される惣菜パン・カレーパンの起源から現在までをご紹介します。
カレーパンの起源は?
カレーパンの起源には諸説あります。
一説では、東京都江東区の「名花堂」(現:カトレア)2代目の中田豊治が、1927年に実用新案登録した洋食パンが元祖だといわれています。しかしカトレアが登録した洋食パンは、「具の入ったパンをカツレツのように揚げる」という内容でした。カレーのルーが入っていたかどうかはこの登録内容ではわからず、カレーパンというよりもピロシキとも想像できます。
また、1934年に創業した練馬区の「デンマークブロート(デンマークベーカリー)」が最初にカレーパンを発明したという説もあります。こちらの説では具の入ったパンを揚げるのではなく、カレーサンドを発売した後、揚げることを思い付いたといわれています。
そもそもカレーはいつ日本に渡来した?
インド料理であるカレーは、明治時代に日本に伝わったといわれています。しかし伝わった際はインド料理としてではなく、当時インドのほとんどを統治していたイギリスから、イギリス料理として伝えられました。
イギリスではすでにカレー粉も発売されており、日本に調理法とともに伝わったようです。
カレーはイギリスに伝わった際に米にかける料理に改良されていました。米が主食の日本人にも受け入れられやすかったのではないでしょうか。
明治時代の末には、カレーうどんやカレーそばなどのメニューが大衆食堂にも並び、学校給食のメニューにも加えられるなど、カレーはさまざまな形で広まっていきました。
そして大正時代には固形のカレールーが、昭和にはレトルトカレーが開発・発売され、一般家庭にも広く普及していったのです。
なぜカレーパンは揚げられているのか?
カレーパンといえば揚げたものを思い浮かべると思いますが、なぜカレーパンは揚げられているのでしょうか?
その理由は具であるカレーにあります。普通のパンと同じ要領でパンを焼こうとしても、水分を多く含むカレーは普通のパンのようにうまく焼けなかったのです。
そこで当時、カレーに次ぐ人気メニューであった「カツレツ」にヒントを得てパンを揚げたのが、現在のカレーパンの原型といわれています。
日々進化しているカレーパン
製パン技術の進化に伴い、現在カレーパンは揚げたものだけではなく、焼いたものも登場しています。他にもさまざまな種類のカレーパンが販売されています。
神奈川県藤沢市にはカレーパン専門店があり、地元の名産しらすを使用したカレーパンが人気を博しています。また、中にキムチやニンニクの入った斬新なカレーパンも販売されています。
進化しているのは調理法や具材だけではありません。女性や子ども向けの優しい口当たりのカレーパンから、辛い物好きの方におすすめの激辛カレーパンなど、辛さにもさまざまな工夫と進化が見られます。
おわりに
カレーパンは、日本人がカレーとパンという洋食の良いところをうまく組み合わせて作った食べ物です。素材の良いところを組み合わせて新しい価値を生み出すという発想は日本人の得意とするところ、大げさにいうと日本の文化といっても良いかもしれません。
昔からあるカレーパンの味も、形状や趣向を変えてではありますが、現在もさまざまなお店で脈々と継承されています。
多くの人が普段何気なく食べているカレーパン。しかし、その歴史や成り立ちを知るだけで、カレーパンに対する見方が変わってくるかもしれませんね。