実はたくさんある国産小麦!春よ恋、きたほなみなど国産小麦の有名銘柄紹介
日本でもさまざまな料理に使われている小麦粉。私たちは毎日たくさんの小麦粉加工品を食べていますが、その多くは輸入された外国産の小麦粉です。しかし、平成27年度は前年に比べて小麦の収穫量が17%増加するなど、農家は国産小麦の育成に力を入れています。
そこで今回は、日本が誇る国産小麦粉についてご紹介します。
小麦の生産量と輸入量
小麦の国内生産量は12%。残りの88%はすべて輸入というのが現状です。小麦の自給率向上に向けて国産小麦の増産が期待されています。
その中でも、北海道は日本の小麦生産量の約7割を占めています。九州も小麦の生産量の多い地域として知られており、福岡県は北海道に次ぐ2位、佐賀県が3位と続きます。
小麦・小麦粉の分類方法
小麦にはさまざまな分類方法があります。よく使用される分類方法は、小麦の粒の硬さによるもの。小麦の硬さは、タンパク質の含有量によって硬い順から「硬質小麦」「中間質小麦」「軟質小麦」と決められています。また、硬質小麦を粉にしたものを「強力粉」、中間質小麦を粉にしたものを「中力粉」、軟質小麦を粉にしたものを「薄力粉」と呼びます。それぞれ、種類によって用途が異なります。
強力粉:タンパク質が多く、粘りと弾力性に優れています。パンや中華麺に適しています。
中力粉:タンパク質の含有量は普通で、うどんなどに適しています。
薄力粉:タンパク質が少なくやわらかいため、天ぷらなどの料理やケーキ、お菓子に適しています。
さらに、小麦粉には小麦の表皮や胚芽、胚乳を分けずにすべて粉にした「全粒粉」も含まれます。
有名な国産銘柄小麦
「きたほなみ」
北海道産のきたほなみは、日本で最も多く作られる小麦といわれる「ホクシン」の後を継ぐ品種として大規模に生産されています。きたほなみから作られる小麦粉は中力粉で、うどんやそうめんなどの麺類にぴったりです。
ホクシンに比べて病気や穂発芽に強く、収量も多い点が特徴。小麦粉の色や製麺適性にも優れています。
「春よ恋」
北海道産の春よ恋から作られる小麦粉は強力粉。パンをはじめ、麺類にも適しています。
通常の小麦は秋に種をまき、冬を越して夏に収穫しますが、春よ恋はその名の通り4~5月の春に種をまき、9月の秋頃に収穫するため栽培期間は4カ月。栽培しやすいことも特徴の1つです。
「ハルユタカ」
北海道産のハルユタカから作られる小麦粉は比較的グルテンが豊富な強力粉です(準強力粉としている会社もあります)。
ハルユタカは基本的にパンに使用されることの多い品種ですが、ラーメンにしてもコシのある美味しい麺になります。
ハルユタカはデリケートな品種で品質も安定しないなどの理由で生産量が減っており、幻の小麦といわれています。
「ゆめちから」
平成20年に開発されたゆめちからは、優れた製パン適正を持つ小麦です。ゆめちからから作られる小麦粉は超強力粉で、2008年には北海道の優良品種に採用されました。
ゆめちからは一般の強力粉よりも粘りが強く、パンに使用するともっちりとした食感を楽しめます。中力粉とブレンドすることにより、パンだけではなく中華麺やパスタなどにも利用可能です。
「ミナミノカオリ」
ミナミノカオリは、アルゼンチンの小麦品種を親に持ち、西日本でも栽培できるパン用の小麦です。西日本初のパン用小麦、ニシノカオリに比べて製パン性が大幅に改良されました。
ミナミノカオリから作られる小麦粉は製パン適正が良い強力粉で、タンパク質含有量が高く、中華麺や醤油の原料にも適しています。
おわりに
昔は中間質小麦(中力粉)が国産小麦の主流とされてきましたが、製パン性に優れた国産の硬質小麦が栽培できるようになってからは国産小麦粉を使用するパン屋さんが増えてきました。安全で美味しい国産小麦を使用したパンをぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
国産の小麦で、もちもち食感のパン作りをしたい方は、弊社が製粉会社と長年研究を重ねて作ったオリジナルミックス(春よ来い・ゆめちから・はるきらりなど)の北海道産小麦粉を使ってみてください。