【ぱんと郷土料理と】飛鳥汁(奈良)
ぱんと郷土料理と
「どこの生まれですか」そんな問いのむこうに思い浮かぶもの、それは日本各地の食卓。情報網や物流が発達して、各地の食べものを知り、取り寄せることがかんたんにできるようになった今でも、まだまだ知られていない郷土料理があります。その土地ならではの食材を、そこに伝わる知恵と工夫で調理した、懐かしい香りのする料理の数々。ここでは、そんな郷土料理をパンと一緒に味わう旅をしてみましょう。意外な組み合わせとおいしさに出会えるかもしれません。
今回ご紹介するのは奈良県の郷土料理「飛鳥汁」。飛鳥汁は牛乳と鶏肉、季節の野菜が入った味噌汁を言います。飛鳥時代に中国の旧王朝・唐から牛乳と鶏肉料理が伝わり、貴族の間で食べられていました。乳製品をあまり食さない時代もあって一時廃れていましたが、現在は郷土料理として復活しています。牛乳が苦手な人でも食べやすい洋風味噌汁です。
飛鳥時代、牛乳は薬用として皇室に納められ、牛乳を煮詰めた「蘇(そ)」を税金として納める制度もあり、庶民の口には届かない貴重なものでした。「蘇」をさらに濃縮、熟成するなどした「醍醐」というチーズに近いような乳製品も作られていたとされ、当時の都だった奈良は日本の乳製品発祥の地とも言えます。江戸時代に入ると、インドから牛が輸入され、末期には日本初の牛乳の販売が始められています。しかし肉食を禁ずる文化が長く続いた日本では、本格的に牛乳や乳製品を食べるようになるのは明治時代以降のことです。
飛鳥汁は鶏ガラスープをベースに、牛乳を3割くらい加え、それを味噌で味付けするのが基本ですが、厳密なレシピはなく、ありあわせの野菜で作ることができます。味噌は関西地方でよく食される白みそが合います。鶏ガラスープがなかったら普通のだし汁でも大丈夫ですので、ぜひお試しくださいね。
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レシピ「飛鳥汁」
味噌と牛乳はとても相性がよいので、味噌汁の隠し味に牛乳、ホワイトソースやミルクスープのかくし味に味噌、といったようにさまざまに合わせられます。特に白みそは乳製品とよくあいます。
<材料>2人分
鶏ガラスープ 300cc
牛乳 50cc
鶏モモ肉 100g
人参 20g
大根 20g
きのこ 20g
青菜など 少々
白みそ 大さじ1
塩 小さじ1/2
<作り方>
①鶏モモ肉は小さめの一口大に切っておく。人参、大根はイチョウ切り、きのこは石づきを取ってほぐしておく。青菜は茹でておく。
②鶏ガラスープに人参、大根を入れて火にかけ、沸騰したら鶏モモ肉、きのこを入れて柔らかくなるまで煮る。
③白みそと塩で味をととのえ、仕上げに牛乳を加えて沸騰寸前で火を止める。
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