パンの保存は常温・冷蔵庫・冷凍庫どれが良い?パンの正しい保存方法【2020.8.26更新】
街を歩いているとふとパンの良い香りが漂ってきて、つられて思わずパン屋さんの扉を開けてしまったという経験はありませんか?
優しいパンの香りに包まれながらトングを手に取り、「あれもおいしそう」「これも食べてみたい」とついたくさん買ってしまったという経験をお持ちの方も多いことでしょう。
しかし、パンを買いすぎてしまった場合はどう保存すれば良いのでしょうか。常温か冷蔵か、それとも冷凍か…。今回は、パンをおいしく食べるための保存方法をご紹介します。
次の日までに食べきれる場合は常温保存
買ったパンや作ったパンは、その日のうちにすべて食べきれていますか?
買いすぎてしまったパンや作りすぎてしまったパンの保存には、悩むことがあるかもしれません。しかし、次の日までに食べきることができそうなら、常温での保存で十分です。
常温保存をする場合、乾燥を防ぐためにしっかりと密閉しておきましょう。
パンの保存にとって、乾燥と劣化は最大の敵です。
冷蔵庫での保存はNG
一般的なパンは小麦粉を使用しており、でんぷんとグルテンを多く含んでいます。でんぷんとグルテン、この2つの成分がパンのおいしさを決めるともいわれています。
でんぷんは水分を含むことでほぐれてやわらかくなりますが、水分がなくなり劣化すると固くなってしまいます。空気にさらされたまま放置されたパンが固くなり、風味が削がれるのはこのせいです。
でんぷんの劣化が最も進みやすい温度帯は0~4℃といわれています。この温度はまさに家庭用冷蔵庫内の温度。グルテンも、でんぷんと同じく水分が蒸発することで硬化してしまいます。水分が蒸発しないよう密封したとしても、でんぷんの劣化が進みやすい温度に保たれた冷蔵庫内での保存はおすすめできません。
冷凍庫での保存がおすすめ
パンを保存する場合、でんぷんの劣化を遅くすることと水分の蒸発を防ぐことがポイントとなります。
でんぷんの劣化速度を遅くするカギとなるのは温度。でんぷんは0~4℃の際に劣化しやすく、0℃を下回ると劣化が緩やかになるといわれています。一般的な冷凍庫の温度は-18度以下が基本のため、パンを密閉容器や密閉袋などに入れ、水分の蒸発を防ぎつつ冷凍庫で保存すれば問題ないでしょう。
ここでひとつ問題になるのは、いかにパンを早く凍結させるか?ということになります。
この問題を解決するには、パンを塊のまま冷凍庫に入れるのではなく、適度な厚さにスライスした後に一枚ずつラップで包んで、密閉袋に入れてから冷凍庫に入れるようにしましょう。
こうすることで、パンがすぐに凍結(氷結晶化)しますし、冷凍庫から出して解凍して食べる時にもすぐに常温に戻すことができますので、まさに一石二鳥です。
しかし、そうはいっても時間の経過にはかないません。冷凍保存したパンであっても、できる限り1ヶ月以内に食べきるようにしてください。
イラスト出典:サラのこだわり健幸パン
冷凍保存に向かないパンもある?
一般的に、パンは冷凍保存がおすすめです。しかし、パンだからといってなんでも冷凍保存して良いというわけではありません。生クリームを使用しているパンや、フルーツ、野菜などを使用している一部の菓子パンや惣菜パン、デニッシュ系のパンは冷凍保存に不向きです。
生クリームを使用しているパンを冷凍した場合、解凍した際に生クリームの油脂と水分が分離し、パンの風味が損なわれてしまう恐れがあります。
惣菜パンは使用している具材によっても多少異なりますが、レタスやトマトなど水分の多い具材を使用している場合は冷凍に向いていません。冷凍すると凍った水分の体積が増え、具材本来の組織を壊してしまいます。冷凍する前と後では食感や風味が損なわれてしまうでしょう。
生地に水分を多く含むデニッシュも、惣菜パンと同様の理由で冷凍に不向きだといえます。
これらのパンは冷凍保存せず、買った、または作ったその日のうちに食べましょう。
おわりに
こだわりを持ってパンを買い求めたり、手間を惜しまず自分で作ったりする方の中には、やはり保存に気を使う方も多いはず。せっかくのおいしいパンも、保存方法を誤ってしまうとすぐにカビが生えてしまうかもしれません。そのようなことにならないよう、できるだけベストな方法で保存したいものです。今回の記事を参考に、パンの保存方法を見直してみてはいかがでしょうか。